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脳死状態の人の体は温かく、心臓も鼓動している。
家族の言葉に涙を流し、子供なら成長する。
意識もあり、痛みも感じている。
そんな「生きている人」を、死んだこと≠ノする。
「脳死」とは、移植に必要な臓器確保のために作られた、
不自然な死の基準に過ぎません。
東京都の中村有里ちゃん(当時2歳8カ月)は2005年12月、原因不明の急性脳症が元で脳死状態と診断されました。それでも、家族と病院関係者の深い愛情と手厚い看護の中、脳死状態で1年9カ月を生き、2007年9月に亡くなりました。
しかし、脳死状態になっても有里ちゃんの体は成長し続け、周囲の呼びかけや雰囲気に応え、涙を流すこともありました。
母・暁美さんはその実体験から、「娘の温かい体に死を感じることなどできず、ますます愛しく思いました。脳死は決して人の死ではありません。脳死状態の子供も、移植しかないと言われた子供も、その命の尊さは同じです。軽重をつけることなどできません」と、強く訴え続けています。
ノン・ドナーカードは「脳死を人の死とは考えない。だから、臓器提供もしません」と、明確に意思表示するためのカードです。万一あなたが「脳死状態」になったとき、「臓器提供しない」とはっきりと意思表示していなければ、改定臓器移植法によって、家族の同意だけで臓器摘出されます。 保険証の記入欄などで、臓器提供に同意していたり,未表記のままだと大変危険です。あなたが事故や病気で「脳死状態」に陥る可能性が出て来たとき、臓器提供が優先されてしまい、十分な救命治療を受けられない可能性が高いからです。 このノン・ドナーカードは、改定臓器移植法に基づく「脳死判定は受けない」こと、「臓器提供もしない」ことを意思表示し、救命治療の継続を求めるためのカードです。常に携帯して下さい。携帯が難しい場合は、ご家族に保管場所を伝えておいて下さい。また、口頭でも「臓器提供しない」ことを伝えておいてください。
脳死状態になっても心臓が鼓動し、体温が保たれているのは、脳からのホルモン分泌が正常だから。つまり、完全には脳の機能が失われていないからです。「脳死」という考え方は既に科学的に破綻しており、本来、脳死の判定などできないのです。
麻酔をかけないでメスを入れた場合、急激な血圧上昇や発汗、体動が起こるため、臓器の摘出はできません。これらの反応はドナーが痛みを感じていることを示しています。
さまざまな角度からの研究、検証により、脳死状態の人は、周囲からの呼びかけを意識できていても、それに対し肉体的に反応を返せない状態であると結論づける脳神経学者もいます。脳死状態の人には意識がない≠ニは、科学的に実証されているわけではないのです。
打撲や発熱で脳が大きなダメージを受けたとき、脳の腫れを防ぐため、体内の水分を減らす方向で救命治療が行われます。一方、臓器提供のためには、体内の水分を十分に保って摘出臓器を保護する処置がとられます。つまり、臓器提供を前提にすると、救命治療は打ち切らざるをえないのです。
たとえば近年,心臓移植を必要とする人への心臓弁形成術、ペースメーカー治療、バチスタ手術などが開発され、臓器移植に代る治療として成功しています。
死の基準は、万人が納得できるものでなければなりませんが、世界には30を超える「脳死判定基準」があります。それほど「脳死」はあいまいな概念なのです。一方、日本には昔から、神道であれ仏教であれ、豊かな霊魂観や身体観に基づいていのちを大切に考える、文化的伝統がありました。体が冷たくなり、霊魂も離れ、もう決して生き返ることはなく、あの世へと旅立った。そういう状態を、人の死として受け入れてきました。医学的には、従来の三徴候死(呼吸停止、心臓停止、瞳孔散大)こそが、万人が納得できる死の基準といえるものです。
(さらに詳しくは「脳死臓器移植Q&A」をご覧下さい)